配布された衛生博覧會パンフレットより


衛生博覧會 主旨

 現在、私達を取り囲む状況は、知らず知らずのうちに、制約・モラル等に縛られ、創作するという根源的意味〜あくまで、個人的であり、本能的であること〜が失われてきているのではないでしょうか。このことは、創作する者にとって、精神的に『不衛生』なものだと考えます。私達は今一度『私』というものに忠実になり、精神的、創作的豊饒感を得たいと想います。その為に、一切の精神的不衛生、創作的不衛生を排除し『衛生』的な創作をどこまでも追い求めたい。これが『衛生博覧会』の姿勢です。
 その『衛生』という言葉は、あまりにも対肉体的であり、対生理的でありすぎると考えるかもしれません。しかし『衛生』という言葉を展開し直視してみると、確かにその表面は明るく、正しく、清潔、健康というイメージがあります。またそれ故に近寄り難いムードも漂わせています。そのムードもさることながら、紙一重の状態で、反転させてみるとエロティシズムに包括されている様々なもの−フェティシズム、SM観、死の恐しさへの憧れ、純粋なもののもろさ等−を想起させる大変興味深い素材だと考えます。それは偏向的で、趣味的な全く個人主義のテーマであります。したがって『衛生』という言葉のもつ複雑微妙なイメージを、おのおのが、自由に本能の赴くがままに、ふくらませ、創作することによって、たとえ各自の創作が両極端に相反したり、分離したりしたとしても、その根底に流れている『或る理念』というものが浮かび上がり、融合していくのではないでしょうか?

 私達が望んでいるものとは、まさしくそういう雰囲気なのです。



パンフレット